「恥ずかしい」が世界を変える — トイレの中で真面目に考えてたこと

ある日、家のトイレに入っていたんです。いつも通り、ふつうに。

で、なんとなく顔を上げたら、棚の上にある生理用ナプキンのパッケージが目に入りました。(うちの生理用品は棚の上にあります。え、いらん情報だって? だまr)

別にそこまではどうでもいいんですが、そのパッケージに書いてあった文字に目がとまりました。

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『カサカサ音がしない「やわらかラップ」』

つまり、ナプキンを個包装する袋を開ける際に、音がしないということでしょう。
男性読者の方にはわかりづらいかもしれませんが、ナプキンの袋を開けるときには、普通「ビリビリ」「ベリベリ」と破く音がします。

別に「音がしないんだ。すごいね、いいじゃん」で終わることなのですが、私はその文章がヘンに引っかかりました。

「何で音がしない必要性があるの?わざわざ音がしない構造にした理由は何だ?」

まあ、答えは簡単です。それは、「ナプキンを開ける際、音がするのが恥ずかしい」からです。

生理は恥ずかしい?

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たしかに、小・中学生でまだ生理が何なのか理解できていないような年頃だったら、プールに入れなかったり、トイレに行く度にナプキンを入れたポーチを持っていかないといけなかったりして、「生理が恥ずかしい」という意識があってもおかしくはないと思います。

この歳になれば、さすがに生理自体は恥ずかしくないです。
でも、うっかり血が漏れてズボンに染みてしまったときは「やっちまった、恥ずかしい」と思うし、恋人でもない限り、男性におおっぴらに話せるかといったらそうでもないです。誰にでも話しやすいテーマではないでしょう。彼氏との旅行に生理が被りそうで、めちゃくちゃ悩んでいた女の子も見たことがあります。
(もちろん、今は前よりも男性の理解は広がっていると思いますし、そう信じています。すごいリアルな話ですみません。)

でもさ、ガールズ。(ビヨンセか、とツッこんでくれたあなたはマジ最高。)
ちょっと考えてみてください。
生理用ナプキンを使う場所は女子トイレ、それも個室の中。
完全にプライベートな空間です。

女子トイレは一般的に、排泄、生理用ナプキンの処理、及び化粧をする場所です。
(もちろん他のアクティビティーも可能ですが、今回は割愛。)

みんなわかるはずです。トイレという場所に何をしに来ているのか。
そして、女ならわかるはずです。生理が来るのは普通のことだし、トイレが生理用品を処理する唯一の場所だって。

だから私はあの「カサカサ音がしない」を見て思ったんです。
「なんで音がしない必要があるの?別に音がしたって問題なくない?トイレで生理用品の処理をすることには共通認識持ってるはずなのに、何が恥ずかしいの?」

試しにネットで調べてみると、「袋を開ける音がして恥ずかしい」とか「家であらかじめ袋を開けて、トイレで音がしないようにする」という強者までいました。

すみません、私にはあまり理解できませんでした。温泉にはモロモロ丸出し真っ裸で入れるのに、生理用ナプキンを開ける音を「恥ずかしい」と思う人がいることが。

でもね、ニーズがあるところには、必ず新しいモノが生まれます。そのひとつが、『カサカサ音がしない「やわらかラップ」』だったのでしょう。
この斬新な機能が、トイレの個室で渦巻く葛藤から、何人もの女性たちを救っているのです。

もうひとつの「音がしない」革命

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もうひとつ、トイレ内で女性を助けるモノがあります。何でしょうか。

そう、音姫です。トイレの便座や壁に付いている、流水音のするアレです。
(男性トイレにも音姫ってあるんでしょうか。それから、あの音姫のキャラクター、便座に座って優雅に本を読んでいるのが昔からずっと気になっています。ページをめくる音が恥ずかしいってか?トイレで本読むな。みんな漏れそうで待ってるから早く出てあげてネ。)

「音姫」の役割は、トイレで起こる恥ずかしい音を、流水音で隠すことです。

たしかに、うんこをする音は、人様に聞かれて嬉しいものではありません。
(私の恥ずかしい文章は、ご覧の通り全く隠されていません。)

この件をさらに深く考えてみるために、「音姫」の生みの親、TOTOさんの「音姫」に関するホームページを読んでみました。
どうやら、うんこの音だけでなく、生理用ナプキンを開けるときの「ビリビリ」の音消しに「音姫」を使っている女性も多いようです。
私は、ナプキンを破く音はそこまで気にならないですが、うんこの音は気になるので、もちろん「音姫」には大変お世話になっています。

「恥ずかしい」の国、日本

japanese-toilet.pngところで、スペインに留学していたときの話になりますが、スペインには「音姫」も「オト・プリンセス」もありませんでした。(紙や便座すら無いこともしばしば。トイレットペーパーホルダーが基本的に無いのは謎だった。)

というか、今まで私が行ったことのあるフランスやオーストラリアなどの国にも、「音姫」らしきマシーンは見かけなかったと思います。

聞いたことがある話で、外国人の中には、日本人女性が海外のトイレで何度も何度も水を流すことを疑問に思う人がいるそうです。
一方の日本人女性は、「音姫」がない環境で、いかにうんこの音を最小限に抑えるか必死なだけなのですが。

日本は、「恥ずかしい」の文化が色濃いと感じます。
「世間様に顔向けできない」という言葉があるように、周りの目を気にすることが多いと感じます。周りの目を気にする基準値も、諸外国と比較して低いと思います。
それが良い悪いと言っているのではありません。韓国人がめちゃくちゃキムチを食べるのと同じように、日本はそういう文化なだけです。

「恥ずかしい」が新しいモノを生む

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結局何が言いたいかというと、「恥ずかしい」という気持ちが、あの「音がしないナプキン」や「音姫」を生み出したということです。
日本人の「恥ずかしい」はたくさんのニーズを生み、新商品を生み出しています。「恥ずかしい」と感じることを、生活の中で少なくするためです。

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お昼の情報番組で見た、足首にゴム跡が残らない靴下(無印良品より)


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靴下を脱いだ時に、足首に「恥ずかしい」ゴム跡が残らない。この靴下はスグレものだ!と紹介されていました。

日本以外の国のように、「恥ずかしい」という気持ちが比較的少ない場合、それを解決するためのモノは生まれにくいでしょう。別に必要ないからです。恥ずかしくないから、いらない。

「日本人は人の目を気にしすぎ!」と考える人もいますが、日本に住んでいるのなら、それはそれでいいかと思います。
繊細な人こそ、人々が困っている小さなことから新しいニーズを汲み取り、解決することができるでしょう。
そして、それがいつの日にか大発明と呼ばれ、世紀を超えて当たり前に使われる商品になるのでしょう。
(それが海外まで広がるかどうかは、また別の話です。「恥ずかしい」と感じない人々には、必要ないからです。)

ガサツで、ナプキンを平気で「ベリベリ」する私は、そんな繊細な人々をときどき羨ましく思います。
「恥ずかしい」と感じない自分自身をちょっと恥ずかしく思い、トイレを後にした、そんなある日の午後でした。

2 comments

  1. Cho kwon hui · March 24, 2017

    As you said one way of escaping from shame might create something good thing to avoid shime.I think mankind who in diry need find way .That is true. One interesting about man’s bathroom is there are some phrase on the wall to maintain it clean.
    Aimed for urinal , a step forward , It’s not just tears that the man shouldn’t spill.
    Thanks to you for unique story and have a great TGIF , weekend.
    それでは、まだ

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    • hiitsmerumi · March 29, 2017

      Thank you for your comment, Cho! Wow that’s very interesting secret of man’s bathroom, hahaha XD
      Thank you for sharing the phrase!!!

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